筧昌也監督の講義風景


かつての日本映画界には、「撮影所システム」というものが存在していました。
東宝、松竹、東映、日活、大映といった大手映画会社は自前の撮影所を持ち、監督をはじめとするスタッフ、そして俳優たちはその撮影所に所属することによって、日夜数多くの映画が作られていったのです。
三船敏郎、原節子、高倉健、石原裕次郎、吉永小百合といった日本映画史に名を残す大スターたちも、皆撮影所に籍を置いて、様々な監督の作品に出演していました。

しかし21世紀の現在、映画を製作し、さらにスタッフや俳優を育てる役割も果たした「撮影所システム」の存在は無くなってしまいました。
俳優は芸能事務所や劇団に所属し、オーディションを受けることによって映画やテレビドラマ出演のチャンスをつかむことが、一般的な方法となっています。
それに対し、この「SHOTGUNFILM Actors Factory」は、監督と役者(を目指す人たち)が共に協力し合って切磋琢磨し、同じ釜の飯を食うことによって映画を作り上げるという、かつての撮影所のような場を現代に蘇らせたいという思いから発足しました。


『ジャズの帝王』と呼ばれた20世紀を代表するジャズミュージシャンのマイルス・デイヴィスはこんなことを語っています。
「オレは若いミュージシャンに教えながら、学ぶ。そうやって新しいエネルギーを得るんだ。まずは教えてやることだ。今度は、それが自分に返ってくる。」(中山康樹著『マイルスに訊け』イースト・プレス刊 より)

今回、Actors Factoryに参加する監督たちも、マイルスと全く同じ心持ちだと思います。講師監督と受講生(役者)は単なる「先生と生徒」という従属的な立場ではなく、お互いの才能をぶつけて高めあう「セッション」を行う関係なのです。
監督も役者も新たな出会いによって刺激を得て、共に研鑽できる場にしていきたいと考えています。



藤井道人監督作品
『オー!ファーザー』
©吉本興業


五藤利弘監督作品
『花蓮~かれん~』
©「花蓮」フィルムパートナーズ


中村公彦監督作品
『101回目のベッド・イン』
©INNERVISIONS/MOOSIC LAB 2015

レッスンを担当するのは、映画・テレビドラマ・CM・ミュージックビデオ・オリジナルビデオ(Vシネマ)といった映像分野でそれぞれ実績のある8人の監督たちです。

言わずと知れた国民的ヒット作「あぶない刑事」「西部警察」「夜逃げ屋本舗」などのシリーズを手掛け、石原裕次郎、渡哲也、松田優作、舘ひろし、柴田恭兵など数々のカリスマたちと撮影現場を共にしたヴェテラン・原隆仁監督。

「ロス:タイム:ライフ」「死神くん」「素敵な選TAXI」など話題のテレビドラマで活躍、その奇想天外なアイデアと独創的なストーリーテリングで観る者を魅了するファンタジスタ・筧昌也監督。

二階堂ふみ主演『ほとりの朔子』でフランス・ナント三大陸映画祭グランプリ(金の気球賞)受賞。最新作『淵に立つ』(浅野忠信主演)がカンヌ国際映画祭「ある視点部門」で審査員賞を受賞するなど、国際的に評価の高まる深田晃司監督。

伊坂幸太郎原作・岡田将生主演『オー!ファーザー』でメジャーデビュー。その後も商業映画とインディーズ映画を垣根無く撮り続ける俊英・藤井道人監督。

『モノクロームの少女』でデビュー後、新潟や茨城など地域に根差した映画作りでコンスタントに活動する五藤利弘監督。

大手企業のコマーシャル映像を数々手掛け、『TOKYO CITY GIRL』で劇場映画デビューも果たした原廣利監督。

映像制作チーム「シネマ健康会」を率い、国内30以上の映画祭・コンテストで受賞。NHK朝ドラヒロイン・倉科カナが主演した『花子の日記』も話題となった、日本インディーズ映画シーンで今最もキテる男・松本卓也監督。

俳優としても長年活動し、音楽と映画の祭典「MOOSIC LAB」で審査員特別賞と女優賞をW受賞した『101回目のベッド・イン』や、『9つの窓』など話題作が続く中村公彦監督。

――それぞれの監督が独自にプログラムを組み、週替わりのローテーションでレッスンを行います。ヒューマンドラマ・恋愛・サスペンス・アクション・コメディと、各監督の得意ジャンルもバラエティーに富んでいます。
様々な監督の演出観や演技メソッドに触れることは、あなたの役者としての視野を広げ、新しい気付きをもたらしてくれることでしょう。

あらゆる映像分野で活躍する8人の監督たちが、あなたとの出会いを待っています。